Googleは広告主と、広告主が提供する商品やサービスを探しているユーザーとをつなぐため、様々な改善を行っています。Google広告のキーワードのマッチタイプのアップデートもその中の一つであり、現在は登録したキーワードの語句に対してだけではなく、キーワードの語句とユーザーの検索語句の意味とのマッチングまで可能にしています。
こうした改善の中でフレーズ一致と絞り込み部分一致がしばしば同様の用途で使用されているということ、そして、両者を組み合わせれば広告主様に適したさらに多くのユーザーに向けて広告を表示できるとGoogleは判断したため、今回の仕様変更に至ったようです。

参照元：《Google広告ヘルプ》検索広告を目的のユーザーに表示しやすくするために

フレーズ一致の仕様変更について

これまでのフレーズ一致では、登録したキーワードと同じ語順の検索語句とその類似パターンで広告が表示されていました。登録したキーワードの語順が反対であったり、そのキーワードの間に語句が入った検索をされた際には広告が表示されない仕様でした。

しかし、今回の仕様変更に伴い、語順が逆になったり間に語句が入ったとしてもキーワードと同じ意味の内容を含む検索であれば、広告が表示されるようになります。

例：【渋谷安いランチ】をフレーズ一致で登録している場合

	広告が表示される	広告が表示されない
仕様変更前	渋谷格安ランチイタリアン渋谷安いお昼ご飯	渋谷ランチ安い安いイタリアンランチ渋谷
仕様変更後	渋谷ランチ安い安いイタリアンランチ渋谷	渋谷安いディナー渋谷オススメランチ

そのため仕様変更後のフレーズ一致は現在と比較すると、現在の絞り込み部分一致で補完していたような検索語句も広告が表示されることになるので、トラフィックが増えることが予想されます。

絞り込み部分一致の廃止について

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、フレーズ一致の仕様変更は絞り込み部分一致のマッチタイプの内容と同じです。今回の仕様変更によってこの２つのマッチタイプに動作の差異がなくなりました。そのため、Googleはフレーズ一致の仕様変更と同時に絞り込み部分一致の廃止を同時にアナウンスしています。

日本では、2021年7月には完全に絞り込み部分一致のキーワード登録ができなくなります。
（※2021年3月時点では登録可能です）

今後の絞り込み部分一致はどうなるのか

Google広告に登録中の絞り込み部分一致のキーワードはすべて新しいフレーズ一致の動作で運用ができます。移行期間中（日本では2021年7月予定）に絞り込み部分一致の登録自体は可能ですが、それらのキーワードはすべて新しいフレーズ一致の動作をするため、キーワードの管理や管理画面の見やすさから考えても絞り込み部分一致は使用せず、フレーズ一致で登録することをオススメします。
（※2021年3月時点では、従来の絞り込み部分一致とフレーズ一致の動作で広告が表示されます。）

現在、絞り込み部分一致とフレーズ一致を同一の広告グループやキャンペーンで運用している場合は、特に今回の仕様変更に伴ってキーワードの変更等、対応する必要がございません。単純に同じ動作をするキーワードが２つあり、検索広告のオークションには広告ランクの高いキーワードが選定されます。

絞り込み部分一致の管理について懸念点も…

ただ、運用者の中には一緒の動作をするキーワードがアカウント内に混在することに抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。そのためにGoogleは2021年4月にはキーワードの変換を行えるツールをリリースするとアナウンスしていますので、重複する絞り込み部分一致とフレーズ一致のキーワードがアカウント内に混在する恐れもなくなると思われます。

なお、現時点で絞り込み部分一致のキーワードのマッチタイプを変更することも可能ですが、フレーズ一致に変換した場合、変換前の掲載結果は引き継がれませんので、注意が必要です。

仕様変更に伴うトラフィックの変化

絞り込み部分一致が新しいフレーズ一致の動作になると、特に一部の語句を絞り込み対象としているキーワードでトラフィックが減少すると予想されます。

一部の語句（例：【+メンズ靴】）を絞り込み部分一致で登録していると、現在の仕様では【メンズ靴下】のような検索語句にも広告が表示される可能性がありました。仕様変更後は、絞り込み部分一致で登録しているキーワードのマッチタイプが自動で新しい動作のフレーズ一致に変更されるため、【メンズ靴下】という検索語句には広告は表示されず、【男性用シューズ】のような検索語句全体の意味に一致した際に広告が表示されます。
上記のように絞り込み部分一致のキーワードを登録している場合は当てはまるケースが多いかと思いますので、多くのアカウントでトラフィックは減少すると予想されます。

Google広告のヘルプページの図をイメージして頂けると分かりやすいかと思います。

https://support.google.com/google-ads/answer/10286719　から引用

トラフィックの変化に対して運用者に必要な対応に関しては、次のセクションでご説明します。

一部の語句への絞り込み部分一致の設定も不可に

これまでは、絞り込み部分一致として一部の語句だけに+記号をつけて部分一致を意図的にコントロールされていた方も多いのではないでしょうか？今回の仕様変更後はこの設定もできなくなり、現在登録中のキーワードは仕様変更後すべて新しいフレーズ一致の動作となります。

運用者が対応できること

現在、絞り込み部分一致とフレーズ一致を使用してGoogle広告の運用をされている方も多いと思いますので、仕様変更に伴ってできることを説明します。

絞り込み部分一致のキーワードに対してできること

絞り込み部分一致のキーワードは、従来よりもトラフィックが減少すると絞り込み部分一致の廃止のセクションで触れました。トラフィックの減少に対して運用者ができる対応策をまとめてみました。

キーワードの追加

キーワードの追加方法に関しては、任意で追加いただいても構いませんが、より効率的に追加をするために下記を推奨します。

検索語句レポートで、ユーザーの検索語句を追加します
[キーワードを追加] で表示される提案やキーワードプランナーも、トラフィック量の回復に役立ちます

部分一致キーワードの追加

これまで絞り込み部分一致で登録していたキーワードを部分一致で登録することで、トラフィック量を減少させることなく運用が可能です。

部分一致を利用する際には、Google広告のスマート自動入札を導入することでユーザーのデバイスや所在地等の様々なシグナルを活用して、目標としているアクションに繋がる検索語句にリーチすることができます。

部分一致とスマート自動入札を組み合わせれば、CPAやROASのような指標の数値を維持しながら、リーチを拡大できることが期待できるので、この機会にトライするのも一つの手だと思います。

フレーズ一致のキーワードに対してできること

新しいフレーズ一致の動作では、従来よりもトラフィックが増加することが予想されます。そのため、広告を表示したくない検索語句やコンバージョンに繋がらない検索語句にも広告が表示される可能性がありますので、【除外キーワード】の設定をすることを推奨します。

語順の違いや、指名系キーワードなどある特定の語句を含む検索は広告を表示させたくない場合は、除外キーワード設定をして管理をしましょう。

※フレーズ一致と絞り込み部分一致に対する今回の変更は、除外キーワードの各マッチタイプには影響しません。

まとめ

今回のコラムでは、Google広告のキーワードに関するアップデート情報を説明しました。最近のアップデートの中でも大きな変更となったため、運用者の方も対応が求められますが、よりGoogleプロダクトの利便性が高くなるので、目的や目標に沿った設定内容さえ押さえていれば、今回のアップデートは広告の成果を向上させる可能性が高いかと思います。

本コラムをきっかけに自社のアカウントのキーワードについて見直す機会になれば幸いです。

参照元：《Google広告ヘルプ》フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について

Google広告における「フレーズ一致」の仕様変更と「絞り込み部分一致」の廃止について

Googleが今回の仕様変更を行った経緯