
【Google広告】P-MAXキャンペーンの運用におけるベストプラクティス

以前投稿したコラムでは、Google広告のP-MAXキャンペーンについて紹介をしました。Googleよりローンチされたパフォーマンス重視の最新のプロダクトとして導入している広告アカウントも増えています。自動化がメインのプロダクトのため、広告運用にかかる工数も少なく手離れが良いですが、それが実現できるのも適切な設計・設定を行ったうえでの話です。
そこで今回は、P-MAXキャンペーンの運用におけるベストプラクティスについて触れていきたいと思います。
P-MAXキャンペーン運用のベストプラクティス
P-MAXキャンペーンの運用において、設計から設定まで様々な項目でパフォーマンスを最大化させるため確認が必要です。Googleでは、【検証設計】【目標設計】【キャンペーン設定】【運用設定】の大きく4つの項目でベストプラクティスをアナウンスしています。それぞれの項目ごとに触れていきます。
検証設計
- 最低4週間以上は配信する
- 配信中の他キャンペーンを止めず、予算を追加して配信する
- 計測するROIは最低過去30日間のデータをもとに設定する
P-MAXキャンペーンを導入した結果を検証するために一定数の配信データが必要となります。どのような方にどのタイミング、どの広告枠で、どのようなクリエイティブを届ければ目標を達成できるのかGoogleは学習しながら広告を配信します。Googleはその基準として期間や予算の推奨をしています。予算については明確な基準はありませんが、並行して配信しているキャンペーン同等の金額は必要になってくるケースが多いです。
目標設計
- 入札額は、同じ目標を設定している他キャンペーンの平均と同等、あるいは1.5倍程度に設定する
- 予算は平均コンバージョン単価の少なくとも2倍を維持する
- スマート自動入札の効果最大化のためURLの拡張をONにする
- 拡張コンバージョンを有効化する、アトリビューションモデルをデータドリブンにする
P-MAXキャンペーンだからといって、配信開始時から無理な目標値を設定してしまうことは危険です。配信ボリュームが確保できなかったり、目標としているCPAやROASを達成できていてもCV数自体が減少してしまい結局売り上げを伸ばせなかったということはよくあるケースです。
目標設計のベストプラクティスとしてあげた項目は、URLの拡張以外P-MAXキャンペーンに限らずGoogle広告を運用するうえでキャンペーン設定として重要な内容となるので、こちらはマストで抑えておくといいでしょう。
ここでURLの拡張という言葉が出てきましたが、これはP-MAXキャンペーンに設定したリンク先以外にもGoogleがコンバージョン獲得する見込みがあると判断した際にそのURL以外のドメイン配下ページにリンクさせる機能のことを指します。こちらの運用方法については後ほど説明します。
キャンペーン設定
- すべての広告素材(テキスト・バナー・動画)を設定する。各項目は設定可能数の最大数を設定する
- オーディエンスシグナルを追加する
- 広告の有効性を【良】もしくは【最良】とする
- 除外キーワードの設定は最小限にする
- テキストはそれぞれ独立性のある内容とし、組み合わせたときに違和感のない内容にする
- 運用開始2~3週間後に広告の有効性が【低】の素材は停止もしくは差し替える
- サイトリンク、構造化スニペット、電話番号の各表示オプションを設定する
キャンペーン設定に関して上記で細かく記載していますが、できるだけ多くの項目を設定するようお勧めします。オーディエンスシグナルに関しては、Google広告アカウント内にある様々なオーディエンスリストを紐づけることを指しますが、こちらもリマーケティングリストや興味関心リストなど多く追加した方がよいでしょう。
これらの項目をすべて満たすことでP-MAXキャンペーンのポテンシャルを最大限に引き出すことが可能です。
運用設定
- 予算は十分に確保する(設定目安のコンバージョン数は最低でも10件/日で、推奨は20件/日)
- 配信後の設定変更は極力控える(日予算、入札単価)
P-MAXキャンペーンは、コンバージョンや売上などを最大化するためのキャンペーンタイプなので、最適化ために一定数のデータが必要です。コンバージョンとするアクションはより売上に近い(購入やサービス申込、来店)ことが望ましいですが、商材やサービスの性質上、または予算の兼ね合いで推奨の運用設定ができない場合は、カートページ到達や資料ダウンロードなどの一つ前の段階をコンバージョンとして運用することもあります。そのような設定をすれば、予算に限りがあったとしても、推奨のコンバージョン数を満たして最適な運用ができます。
コンバージョンの設定については目標設計の部分とも重なるので、お互いのポイントを押さえて設定を進めないといけないですね。
P-MAXキャンペーンを検索広告と同時掲載する際のポイント
P-MAXキャンペーンは、テスト期間も含め検索キャンペーンのみならず、従来タイプの他キャンペーンと同時並行で広告配信するケースが多いです。特に検索広告は、ある程度管理したいという広告主様もいるので、個別でP-MAXキャンペーンと並行して運用します。
そこで検索キャンペーンとP-MAXキャンペーンの広告表示対象となる検索語句が被ってしまう可能性もあるので、その配信ロジックと同時掲載する際のポイントを説明します。
P-MAXキャンペーンと検索キャンペーンの配信ロジック
同一広告アカウント内では、検索キャンペーンにて登録されているキーワードとユーザーの検索語句が完全に一致した場合、検索キャンペーンが優先されて広告表示されます。ユーザーの検索語句と検索キャンペーンで登録しているキーワードが完全一致したかどうかが重要であり、マッチタイプは関係ありません。

特定の検索語句(サービス名や社名など)にて表示される広告のリンク先や上限クリック単価などコントロールしたい場合、検索広告のキーワードを完全に一致する形で設定をすれば、P-MAXキャンペーンとのすみわけをすることもできます。必要に応じてP-MAXキャンペーンを開始するタイミングで検索広告のキーワードは見直してみてもいいかもしれません。
最終ページURLの拡張をONにする
URLの拡張はONに設定することで、最終ページURLに指定したURLのドメイン全体が広告のリンク先として対象候補になります。
URLの拡張をONにすることで広告見出しとキーワードも自動生成されるため、パフォーマンス最大化に向けてより自動化に頼る形となりますが、広告主様によってはP-MAXキャンペーンとはいえリンク先のページや広告見出しはある程度管理しないといけないケースがあるかと思います。その場合は、URLの拡張をOFFにすることで最終ページURLに指定したページのみをリンク先として設定できますが、P-MAXのパフォーマンスを最大限に発揮できないので、URLの拡張はONにすることをお勧めします。(※リンク先の対象として特定のURLを除外する設定は可能です)
しかしながら、すべてのケースでURLの拡張をONにしないといけないというわけでなく、サイト構成やサービス内容によってはOFFにした方がいい場合もあります。
リンク先URL以外のページには訴求したい内容があまり含まれていない(会社概要やプライバシーポリシー等のページしかない)場合や、ページ数が膨大ですべてページの商品やサービスを広告掲載の対象とすると結果的に全体のパフォーマンス低下に繋がりかねないこともあり、リンク先URLとして設定するページ次第では、OFFにすることも検討しないといけません。
検索広告で配信したいキーワードがある場合でも、すぐに除外設定をしない
P-MAXキャンペーンでは検索広告も配信をしますが、並行配信している検索キャンペーンで配信したいキーワードがあった場合もP-MAXキャンペーンの除外キーワード設定は控えた方が良いでしょう。P-MAXキャンペーンで除外キーワード設定をすると、検索広告のみならずほかの広告枠においても除外対象となり、最大限に獲得ができなくなる可能性があるためです。競合キーワードやネガティブなフレーズなど獲得に問わず除外の必要があるキーワード以外はできる限り除外設定をしないようにしましょう。
まとめ
今回はP-MAXキャンペーンの運用におけるベストプラクティスについて触れました。細かい点もありますが設計・設定の時点でしっかりと対応すれば、配信開始してから運用工数は少なくなり、パフォーマンスを最大限伸ばすことができます。