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【前編】YouTube広告~ブランドリフト調査とは?概要と実施方法について解説~

テレビCMやYouTube広告をはじめとした認知拡大が目的の施策は、広告効果の可視化が難しく費用をかけて実施したものの実際に効果があったのかどうか分析がしづらいものです。そこで今回のコラムでは、認知や購入意向など広告が与えた影響を測定できるYouTube広告のブランドリフト調査に関して、その概要や実施方法を解説します。

ブランドリフト調査とは?

ブランドリフト調査(Brand Lift Sarvey)とは、Google広告が提供している動画広告の広告接触者と非接触者を比較し、広告接触がもたらした態度変容を検証する調査です。通常のYouTube広告では、インプレッション数や広告のクリック数、広告の視聴回数などGoogle広告の通常レポートで見れる数値は確認できますが、それに加えてブランドリフト調査でしか計測できない数値も見ることができます。

YouTubeで動画を閲覧する前にこのようなアンケートが画面上に表示されたことのある方が多いのではないでしょうか?こちらがブランドリフト調査のアンケートとなっており、この回答内容をもとに調査を実施します。

PCでの表示画面
スマートフォンでの表示画面

ブランドリフト調査の実施要件

動画広告の配信とアンケート調査が同時に行え、ブランディングに関する検証ができる非常な便利なブランドリフト調査ですが、実施には条件があります。

Google広告アカウントもしくは広告代理店にGoogleアカウントの担当者がついている必要がある

ブランドリフト調査の実施には、Googleの担当者が広告主のGoogle広告アカウントもしくは広告代理店についていなければ実施できません(※Googleの担当者がついていても、Google広告アカウントによっては利用できない場合がございますので、Googleの広告アカウント担当者に問い合わせてください)。

調査項目ごとに期間内で最低出稿額がある

ブランドリフト調査の実施には、一定期間でGoogleの定めるデータ量を回収する必要があるため、最低出稿額の条件があります。その金額は下記の表の通りです。金額はドルベースとなっているため、日本で実施の場合為替レートによって最低出稿額は変動します。(※表は2021年4月時点の金額となっているため、変動する可能性がございます。)

ブランド効果測定指標実施可能金額ご参考出稿金額
($1=120円)
広告想起 / 認知度 / 比較検討 / 好意度/ 購入意向 の中から1種(自由)$15,000 -
キャンペーン開始から7日以内
1,800,000 - 円
広告想起 / 認知度 / 比較検討 / 好意度/ 購入意向 の中から2種(組み合わせ自由)$30,000 -
キャンペーン開始から7日以内
3,600,000 - 円
広告想起 / 認知度 / 比較検討 / 好意度/ 購入意向 の中から3種(組み合わせ自由)$60,000 -
キャンペーン開始から7日以内
7,200,000 - 円

ブランドリフト調査で実施できる質問項目

ブランドリフト調査では、質問項目として5種類が用意されています。先のセクションで触れましたが、複数の質問項目を1つのキャンペーンで調査すること自体は可能ですが、その分最低出稿額が高くなるため、確認が必要です。

選択できる質問項目は下記の5種類です。

広告想起率

広告を見たことのあるブランドもしくは商品をアンケートで回答することによって、動画広告が想起されるものかどうかを検証することができます。(※複数回答)

認知度

ブランドや商品に対して、ユーザーが認知しているかどうかをアンケートで検証することができます。(※複数回答)

比較検討

ブランドや商品に対して、ユーザーが購入する際に検討しても良いかどうかをアンケートで検証することができます。(※複数回答)

好意度

ユーザーに選択肢の中から好きだと思うブランドや商品をアンケートで回答してもらい、好意度を検証することができます。(※複数回答)

購入意向

アンケートを通じて、選択肢の中からユーザーが購入する時に最も選びそうなブランドまたは商品を検証することができます。(※単一回答)

アンケートの設定画面では、商品またはブランドタイプを選択します。調査対象となるタイプを選択することで質問文がその内容に沿って変更されます。今回は飲料商品を選択し、質問項目を購入意向に設定してみたので、「今度あなたが飲料を購入する際に、この中で最も選びそうなものを一つをお選びください。」という質問文になりました。

ブランドリフト調査の実施方法

ブランドリフト調査は、Google広告の管理画面から設定が可能です。ただ、ブランドリフト調査の実施要件でも触れた通り、すべてのアカウントで実施することができませんので、注意が必要です。手順としては下記の通りです。

  1. Googleの広告アカウント担当者にブランドリフト調査実施の旨を伝える
  2. 対象のGoogle広告アカウントにホワイトリスト申請を実施する
  3. 調査設計を実施する
  4. 動画キャンペーンの入稿を実施する
  5. ブランド効果測定の設定を実施する
  6. 設定内容の最終確認

Googleの広告アカウント担当者にブランドリフト調査実施の旨を伝える

ブランドリフト調査を実施するGoogle広告アカウントをGoogleの広告アカウント担当者に告知します(※Google広告アカウントが未開設の場合は、新規アカウント作成が必要です)。告知をする際に、実施スケジュールや予算、質問項目等を一緒に共有することでGoogleの広告アカウント担当者からフィードバックも頂けるケースが多いので、オススメします。

対象のGoogle広告アカウントにホワイトリスト申請を実施する

ブランドリフト調査を実施するアカウントが確定したら、Googleの広告アカウント担当者が該当アカウントのホワイトリスト申請をGoogle社内で実施します。この申請にはおおよそ2週間ほどかかるため、該当アカウントの共有は早めに対応して頂くのが良いでしょう。該当のGoogle広告アカウントのホワイトリスト申請が終了するとGoogle広告アカウントの【ツールと設定】>【設定】>【ブランド効果測定】の項目が追加されますので、ここからブランドリフト調査の設定ができるようになります。

【補足】②はホワイトリスト申請を実施していなければ、管理画面に表示はされません

調査設計を実施する

今回のブランドリフト調査でどのような質問項目にするのか調査設計を実施します。ブランドリフト調査で実施できる質問項目で触れた5つからどの項目を調査するか選択し、選択肢を自社の商品名またはブランド名とし、ベンチマークしている他3つの選択肢を決めます。質問文に関しては、質問項目ごとに事前に決められているため変更はできません。

動画キャンペーンの入稿を実施する

ブランドリフト調査は、動画キャンペーン(YouTube広告)にブランド効果測定を紐づける形で実施します。そのため、通常の動画キャンペーンの入稿が必要となります。広告のフォーマットなど動画キャンペーンの詳細については別のコラムで触れているので、こちらのコラムを参照ください。

ブランドリフト調査はすべての動画キャンペーンの広告フォーマットに対応していないため、注意が必要です。TrueViewディスカバリー広告とアウトストリーム広告は対応していないので、それ以外の広告フォーマットを選択しますが、Googleは広告の表示回数を確保するためバンパー広告もしくはTrueViewインストリーム広告を推奨としています。

また、動画キャンペーンの開始・終了日の設定にも注意が必要です。ブランドリフト調査のためのアンケートは紐づけているキャンペーンの開始日に合わせてYouTube上に表示されますので、動画キャンペーンを配信する際にはキャンペーンのステータスを変更するのではなく、配信開始日と終了日を設定し広告配信とブランドリフト調査を実施します。該当の動画キャンペーンをブランドリフト調査の実施期間より前に配信開始してしまうと動画キャンペーン開始のタイミングからブランドリフト調査が開始してしまいます。もし、ブランドリフト調査を実施前から動画キャンペーンを開始したい場合は、別キャンペーンを新たに作成して広告を配信する必要があります。

ブランド効果測定の設定を実施する

Google広告アカウントの管理画面の【ツールと設定】>【設定】>【ブランド効果測定】から設定をします。詳細な設定方法は省略させていただきますが、キャンペーンの入稿ほど複雑ではないため、比較的簡単に設定できます。この部分の設定もミスがあると正確な検証ができないので注意が必要です。

設定内容の最終確認

ここまでの設定でブランドリフト調査を実施するために準備は完了です。最後に動画キャンペーンの入稿内容も含めて問題がないか最終チェックを実施します。もし自分だけの確認が不安な場合はダブルチェックをしてくれる方に依頼をかけるなどしてみると良いかもしれません。

まとめ

今回のコラムでは、YouTube広告のブランドリフト調査について触れてみました。金額面で実施ハードルの高さはありますが、認知施策をYouTubeで実施する際にはぜひ活用したい機能の一つだと思いますので、ぜひこの機会に検討して頂けますと幸いです。